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星明かりの更新

真っ直ぐ立つために、少しの呪いを添えて。現人神へと変わるまで、リターンズ。

追い越されていく恥ずかしさ、それを恥ずかしいと思う恥ずかしさ

 クールダウン。

 アルバイト先に見知った顔が来た。他人の空似である可能性も否定は出来ないのだけれど。

 見知っているというだけで、仲が良かったかは覚えていない。彼は小学生の頃の後輩にあたる。最近、テレビ越しに見る機会があった。甲子園に出場していたのだ。時間が過ぎるのは早い。増大から減少に変わるまで、もう猶予はそれほど残っていない。

 小さい頃、僕はソフトボールをしていた。慢性的に人が足りず、そこではそれなりの年齢というだけで価値があった。ライトで9番。振り返っても、自分はお荷物でしかなかった。私と同じ年齢が1人でもいれば自分は外されていただろうし、試合に出るようなことも殆ど無かったことだろう。今となっては、その方が良かったのかもしれないと考えることもある。

 一時期とはいえ、彼と同じグラウンドで練習していた。ただの公立校で、健全な教育の一環程度の位置付けだったと思う。健全な教育とは何かなんて全く分かっていなくて、ただの印象でしかない。野球に勝つために必死に練習するような感じでは無かったように思う、いや、それは僕だけだったのかもしれないけれど。

 試合は嫌いだった。練習も嫌いだったが、それよりも試合が嫌いだったんじゃないかと思う。ボールが飛んでくるのは恐ろしく、バッターボックスには立ちたくないとさえ思った。

 野球は全員でやるものだ。私はそれが嫌いだった。貢献できるような人間では無かったし、足を引っ張るのはいつも自分だと感じていた。今となっては辞めなかった理由も分からない。

 自分が連帯感を嫌うようになったのは、この辺りからじゃないだろうか。他人が足を引っ張るのはまだ増しだ、自分が他人の足を引っ張るよりは。

 自分はフリーターで、彼は甲子園球児。いや、もう甲子園球児とは少し違うか。

 私はフリーターという言葉をあまり良く思っていない。他人の立場や考えは置いておいても、自分にとっては挫折から流れた結果に過ぎなかった。

 これが物語なら、どんな対比になるのだろうか。いや、対比にすらなりはしない。物語には必要もない、言の葉の贅肉だろう。俺は声を掛けられなかったし、向こうも何も言わなかった。
 
 落ちていくのはいつかなんて分からない。後ろから追い越されることなんてのも日常茶飯事だ。日常茶飯事だ。

 俺は何をやってるんだろうなと思った。

 きっと恥ずかしがるべきは、今の自分を受け入れきれていないことなのだろう。現実はただそこにある。
 
 クールダウン、出来てない気がする。